概要
マンション分譲当初から、管理会社へ委託せず、管理費の集金管理や修繕関係の手配を自分たち役員で行っている形式を「自主管理マンション」と言います。
自主管理(管理会社へ委託せずに、自分たちで管理する運営形態)には、次のようなメリットがあります。
自主管理のメリット
- コストが安い(管理会社へ委託していないため)
- 各自がマンションの運営を自身のこととして捉えるため、責任感が生じ易い
- 組織化に成功すれば、結束力最強
- 誰にも惑わされず、思い通りに邁進できる
しかし、多くの自主管理マンションにおいて、次のデメリットが挙げられます。
自主管理のデメリット
- 役員の負担増加
- 各種工事等の検討や決定が難しい
- 情報が入って来づらい
管理会社の委託管理に移行する場合、いろいろメリットがありますが、デメリットもあります。
管理会社へ委託した場合のデメリット
- 管理費が増額する
- 昔から管理組合で使っていた銀行口座の取り扱いができないといわれることがある
- 管理会社の社内ルールが多く、自分たちのルールに合わせてくれないことがある(今までのやり方を変えないと駄目だといわれた)
- インターネットを使用した支払い方法でないと管理できないといわれた
- 想像していた委託管理とは違った
令和5年度に実施された「マンション総合調査」では、全体の約5.2%が自主管理マンションとなっています。
会計支援(決算書の作成等)
自主管理マンションにおける一番の困りごとといえば、会計書類の作成でしょう。
管理委託していれば、殆どの契約に会計書類が含まれますが、自主管理では役員がこれを行わなければなりません。
区分所有法第34条では、「管理者」に「少なくとも毎年一回集会を招集」する義務を負わせ、その集会(総会)においては、「組合員に対し、前年度会計における管理組合の業務の執行に関する報告をしなければならない」(標準管理規約単棟型第38条第3項)と考えられています。そのため、会計書類の作成は必須です。
弊社のサービス内容
会計帳票の作成(全国対応)
- 業務内容
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- 総勘定元帳を作成
- 収支報告書案、予算書案、貸借対照表案、財産目録案、未収金一覧を作成
- 導入効果
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- 理事長、担当理事の負担軽減
- 導入手順
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- 理事会決議
- 総会決議
- 作業手順
-
- 弊社が、預金通帳、帳簿、請求書・領収書の写真を撮影
※そのため、弊社がお金の出し入れに関わることは一切ありません。
- 弊社が、預金通帳、帳簿、請求書・領収書の写真を撮影
費用
(単体の場合)月額 11,000円(税込)~
※マンションの規模に応じて変動いたします。
一般に、マンションの会計書類は、そのままそのマンションの状況を物語るものとなりますが、自主管理マンションにおいては、その会計書類の仕様も、そのマンションの状況を物語るものとなる可能性があります。
理事の誰かが会計を担当して決算書を作成する、あるいは知り合いの税理士さんに依頼して作成してもらうと、往々にして、単年度の決算・予算のみものが出来上がってくることがあります。
しかし、マンション会計の一大事であり醍醐味は、実績を参考にしつつ予算をたてること、そしてその予算に対して結果がどうであったかという点です。
収支報告書
収入
-
- 管理費収入
- 2,000,000
-
- 駐車場使用料
- 55,000
支出
-
- 電気料
- 300,000
-
- 水道料
- 30,000
管理費と修繕積立金
修繕積立金とは、建物の特別な管理のために使うお金です。マンションにも一生があり、若くてあまり手のかからない時期から、あちこち悪くなっていろいろとお金のかかる時期があります。どんな時もそれ相応に手当するためには、計画的にお金を使っていかなければなりません。幸い、人間と違って建物はいつ頃悪くなるのか大体わかりますので、大規模な修繕が必要な時期のために積み立てをし、必要な時に取り崩しについて予算計上します。
予算と決算を比較する
さて、あれこれ考えて立てた予算に対して、果たして決算はどうであったか!? というと大袈裟すぎるかもしれませんが、この繰り返しにより健全な管理組合運営が産み出されることに間違いはありません。引いては、管理費の額、修繕積立金の額の検討にも繋がってくるはずです。また、予算と決算の額に差異があればこれは追究すべき事項です。
「予算に対して消防設備点検が1回分しか計上されていない、1回しかやっていないのか?」「1ヶ月実施がずれたために翌年度分になったんだね」とか、「電気代が予算よりかなり下回ったのはなぜ?」「政府の施策があったからなのね」とか。これらの差異が生じた理由については、明確にしておかなければなりません。
収支報告書
収入 | 予算 | 決算 |
---|---|---|
管理費収入 | 2,000,000 | 2,000,000 |
駐車場使用料 | 55,000 | 55,000 |
支出 | ||
電気料 | 350,000 | 300,000 |
水道料 | 30,000 | 28,000 |
集金代行サービスへの移行等支援
自主管理マンションにおいては、管理費等の収納を各自の振り込み、手渡しによって行っているマンションが少なくありません。区分所有者がごく小数であったり、信頼関係に揺るぎがなければその形態のままでもよいでしょうが、たいていの場合、未収金問題が浮上してきます。
自主管理マンションにおいて未収金問題が発生すると、第三者の介入がないことから、知らなくてよかった他人のプライバシーに踏み込み、複雑な思いを抱え込むことにもなりかねません。
未収金の発生を未然に防ぐためのものとして、集金代行サービスの利用が考えられます。
弊社のサービス内容
集金代行サービスの移行作業及び毎月の引落し業務
- 業務内容
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- 総勘定元帳を作成
- 収支報告書案、予算書案、貸借対照表案、財産目録案、未収金一覧を作成
- 滞納管理
- 理事会報告
- 導入効果
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- 振り込み忘れから始まる常習的な滞納を防ぐ
- 1度の振り込み忘れであれば、次月に2ヶ月分の引落しをかけることで、速やかに回収
- 同日に引き落とされるため、未収分が明確
- 組合員の手間が省ける。
- 管理費等の改定の際にスムースな移行が可能
- 導入手順
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- 理事会決議
- 総会決議
- 作業手順
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- 組合員全員「口座振替依頼書」を記入
- 弊社が「口座振替依頼書」を業者に送付、業者受付
- 業者受付から2~3ヶ月で、引落し開始
費用
(単体の場合)月額 22,000円(税込)~
※マンションの規模に応じて変動いたします
集金代行サービスを選ぶポイントは、組合員にとって使い勝手の良い銀行及び支店を引落し銀行に選べるかどうかにあります。組合員が、毎月、引落し銀行に入金するようでは、まったく意味がありません。弊社が関わらせていただいている管理組合様で、未収金が発生しているのは、その管理組合の取引銀行が行っているサービスで、当該銀行の〇〇支店から引き落とす、ことが指定されている管理組合様のみです。
総会・理事会支援
1.総会の開催
自主管理マンションに関わらせていただくと、しばしば、これまで開催された総会が区分所有法あるいはそのマンションの管理規約に反していることがあります。反していたとしても、問題となることは、実際はほとんどないかもしれないのですが、たとえば、新しく入居してきた区分所有者が過去の議事録等を見てこの決議はおかしいのではないかなどと追及してきた場合など、事態は複雑になります。
その他、議案書の発送日付が規約に定めた2週間前(中14日)より後の日付であったりすると、総会自体が無効だったということにもなりかねません。そのため、法律および規約に則った総会開催が望まれます。
2.理事会の開催
理事会にも、決議要件があるなど規約遵守が求められますが、理事会の難しさは、その段取りにあります。理事会は、前年度の総会の事業計画に挙げられた事項を執行していく役目を負い、それらをクリアしつつ最終目標は総会を開催することです。
それに向けていつまでに何を準備し、検討し、決定しておかなければならないか、すべて逆算して進める必要があります。また理事会は、漏水事故、経常的な修繕工事、組合員からの要望に対応、決定する役割も追っています。
それらを合わせて限られた時間の中で効率的に処理していくことが肝要となります。
弊社のサービス内容
総会・理事会開催支援
- 業務内容
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- 議案書案の作成
- 議案書印刷・発送代行
- 総会進行の補助
- 理事会レジュメの作成
- 議事録(総会・理事会)作成
- 導入効果
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- 適正な総会を開催することができる
- 議案書・議事録の作成などの役員の手間が省ける
- 理事会開催の補助により、十分な協議をすることができる
- 導入手順
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- 総会決議
- 理事会決議
- 作業手順
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- 組合員全員「口座振替依頼書」を記入
- 弊社が「口座振替依頼書」を業者に送付、業者受付
- 業者受付から2~3ヶ月で、引落し開始
費用
(単体の場合)月額 33,000円(税込)~
※マンションの規模に応じて変動いたします
(簡易)長計作成支援
弊社のサービス内容
長期修繕計画が必要であることはわかっているのだけれど、費用がかかりそうで、なかなか手が出ない。という自主管理マンションは多いと思います。長期修繕計画があれば、今後必要な工事、実施時期、修繕積立金の額を組合員全員で共有することができるのに、、、。そんな自主管理マンションは、公益社団法人マンション管理センターが行っている「長期修繕計画作成・修繕積立金算出サービス」を利用することで長期修繕計画を安価に手に入れることができます。本センターでは、劣化診断を省き、主としてそのマンションの形状および修繕履歴等から簡易的な長期修繕計画(以下、「(簡易)長計」といいます。)を作成します。簡易的ではあるものの総会で承認されればそのマンションの長期修繕計画として認定制度、評価制度などにも対応可能です。
なお、管理組合が長期修繕計画を作成していない場合、マンション管理適正化法の改正により行政などが行う調査において、「管理状況に課題のあるマンション」などと判定されてしまう場合がありますので、早めの作成が望まれます。
(簡易)長計作成支援
- 業務内容
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- 記入票データの入力
- 修繕履歴の確認(資料の閲覧、役員への聞き取りを含む)
- 会計状況等の確認(資料の閲覧、役員への聞き取りを含む)
- 完成した(簡易)長計の説明
- 記入票データの入力
- 導入効果
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- 難しい内容をプロに任せることができる
- マンションの実態に即した(簡易)長計を作成できる
- 導入手順
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- 理事会決議
費用
(単体の場合)月額 110,000円(税込)~
※マンションの規模に応じて変動いたします
自主管理マンションにおいて、強力なリーダーの存在でもないかぎり、計画的な建物の維持管理は後回しにされがちです。大規模修繕工事では大きなお金が動きますし、検討の仕方もよくわからないので、わざわざ率先してやりたくない、次の理事長におまかせ、ということになってきます。また、マンションのためにと、重い腰を上げて取り組んだつもりでも、否決されてしまう場合さえあります。そのため、いつしか「不具合が起こったら、修繕する」という対応になってきます。
計画的に修繕することは、無駄な支出を防ぐことに繋がります。たとえば、大規模修繕工事を遅らせているマンションに、外壁からの雨水の侵入による専有部分への漏水が発生した場合。この場合はもう、対応工事をやるのやらないのなど悠長なことを言っている場合ではなく、管理組合は自らの管理不全の責任をとる義務がありますが、その工事において、足場を掛けるとなるとそこそこの金額を支出することになり、管理組合からお金が減ってしまいます。それらを繰り返していると、その結果、充分かつ網羅的な大規模修繕工事を諦めて、外壁等の部分的な修繕にとどめることを選択される管理組合がありますが、悪循環に陥っているように思います。
長期修繕計画とは、ご承知のように、30年以上の長期に亘って、〇〇年頃に大規模修繕工事をやろう、〇〇年頃にエレベーターの取替工事をやろうと計画するものです。これによって、修繕費用の総額が概算でわかり、各戸で負担すべき修繕積立金の額も判明します。長期修繕計画書の重要な役割の一つは、修繕費用概算総額を算出し、戸当たり金額を割り出すことです。
良好な管理組合運営の軌道に一番手っ取り早く乗っかるには、割り出された額に少しでも近い修繕積立金を徴収し、修繕計画を基にしながら、修繕を実施していくことと考えます。