
自主管理マンションは「資産価値が低い」と言われがちです。確かに委託管理に比べれば運営に不安を持たれやすい面はあります。
しかし、実際には日々の維持管理を着実に行っているマンションであれば、組合員全体の意識が高くコストは低めに推移することから、良好な管理状況であるともいえます。さらに国が推し進めている「管理計画認定制度」で認定を受ければ、客観的評価も加わり、資産価値を高めることも可能です。
もっとも「資産価値」と言われても、日常生活の中ではなかなか実感しづらいものです。そこで、いくつかの具体的な視点から考えてみましょう。
① 周辺相場との比較
同じエリア・築年数・戸数でも、管理状態によって売買価格には差が出ます。
特に、小規模で修繕積立金が不足しているマンションは、1割以上安く売却されるケースも少なくありません。
例:
・適正に管理されたマンション → 2,500万円
・修繕積立金不足の管理不全マンション → 2,200万円
管理の姿勢そのものが価格に直結していることが分かります。
② 修繕積立金シミュレーション
長期修繕計画の最終年度不足額から、将来のリスクが金額として見えています。
(例:30戸規模のマンション)
・現在の水準のまま → 30年後に約50,000,000円の不足
・今から月額5,000円(平均)アップ → 不足ゼロ
多くの住民にとって、将来一時金で数十万〜百万円を負担するより、毎月一定額を少しずつ負担する方が納得しやすいのが実情です。
③ 管理計画認定制度・適正評価制度の活用
「管理計画認定制度」で認定を取得すれば、市場での客観的評価が高まります。
また、適正評価制度による「★評価」は、SUUMOなどの不動産サイトでも掲載が広がっており、買主が購入判断の際にチェックする項目になっています。
・★が無いまたは低い → 将来のリスクを懸念され敬遠される
・★が4~5 → 安心感につながり購入意欲アップ
④ 「今」と「将来」のつなげ方
- 今のまま:修繕積立金と修繕不足のリスクを嫌われ、値下げ要求 → 2,200万円
- 正常化後:適切な維持管理と適正な積立金により安心感 → 2,500万円
つまり、月々5,000円の負担増が、将来の売却価格+300万円につながるのです。
まとめ
自主管理だからといって資産価値が必ず低くなるわけではありません。むしろ、管理計画認定制度や適正評価制度を活用すれば、第三者から「安心できるマンション」と認められ、その評価が資産価値の維持・向上につながります。そして、それがリバースモゲージ等における好条件融資にも反映されます。
「いまの管理を整えることが、将来の資産を守る一番の近道」
この考えを共有し、自主管理マンションこそ認定取得を積極的に目指していきましょう。
なお、弊社では自主管理マンションの「管理計画認定制度」「適正評価制度」の取得をサポートしています。両制度の取得に向けた準備や具体的な手続きについても、ぜひお気軽にご相談ください。