マンション管理組合役員の番がまわってきた!!!

突然の役員就任の連絡

入居から4年。突然の役員就任連絡。

電話で「来期は〇〇さんが役員の番です。来月開催の総会に必ず出席してください。」と管理会社の担当者から連絡が入る。

布地建設(株)が分譲したマンションに入居から4年。

布地建設グループ企業の管理会社である布地管理(株)担当者から電話があった。

どうやら役員の就任は、輪番制で順番が決まっているとのこと。
何をするのかよくわかっていないが総会の出席について了解し、来月(5月)の総会に出席してみる。

すると、自分の名前が総会席上で読み上げられ、ひとまず管理組合役員就任について承認される。
(おいおい、役員就任を承諾したとは言っていないぞ。と思いつつも・・・。)

総会閉会後、役員に就任した6名が管理会社担当者に誘導されながら集まった。

管理会社担当者からは、役員の役職について決めたいとのことで、役職がさらさらと読み上げられた。
「役員の役職について希望はありますか?」

どんなことをするのかさっぱり分からないので、他の新役員も役職を選びようがなく、結局、あみだくじで役職を決めることとなった。

運よく(悪く?)自分が理事長を引き当ててしまった。

管理会社の担当者からは、何かあっても大丈夫です。すべて任せて下さい。
と何とも頼もしい言葉が返ってきた。

帰宅後、家族に理事長になったことを伝えたところ、怒られたことは言うまでもない。

こうして、理事長としての私の一年が始まった。

理事長になって初めての理事会

理事長は何もすることが無いらしい

総会閉会後に自分が新理事長に就任することとなったが、結局、理事会開催まで、何だかんだで、総会から2ヵ月が経過していた。

ようやく日程調整がついたとの管理会社担当者から連絡があり7月に理事会を開催することとなった。

前理事長との引継ぎは、管理会社担当者に聞いたところ、恒例で1回目の理事会で行うこととなっているとのこと。

理事会当日に、前理事長から管理組合の印鑑や様々な保管文書をどさっと渡された。

前理事長からは、
「管理会社がしっかりしているし、大丈夫ですよ。担当者の南味平さんも優秀ですし。任せとけば何もすること無いですよ。」
と言われたので、理事長として何をするのか、いまいち分からなかったが、何となく安心する。

一回目の理事会では、管理会社から色々と定時報告ということで、話があったが、半分位程度しか内容が分からなかった。
普段任せている管理会社担当者だから安心だろうと思う。特に出席理事からも意見は無かった。

管理会社担当者から、例年3ヵ月に一回程度の理事会開催頻度でしたという話があったので、次回の理事会は、10月に設定して理事会閉会となった。

その後、管理会社担当者から、時折、洗濯機から漏水し下階へ漏水した件や軽微な補修に関する連絡が何回かあったものの、理事会として打ち合わせをすることはなかった。

普段、マンションで仕事をしている管理員の借野さんは、とても仕事熱心で、特にトラブルは無く、管理を任せていて安心だ。

自分は理事長だけど、前理事長が言っていたとおり、何もすることは無いと思ってしまう日々が続く。

理事長になって2回目の理事会

なんだか参加者が少ない?

10月になり2回目の理事会を開催する。

何だか前回の理事会より、出席者が少ないなと感じてしまった。
他の役員の名前と顔が一致しないけれど・・・・。

管理会社担当者から、「本日の理事会は会計担当理事の野火さんと書記担当理事の水南元さんは、急遽お仕事があり欠席するとの連絡がありました。監事の五宇田さんからは連絡が無かったのですが、本理事会は適法に成立しています。」と話があった。

副理事長の保根川さんと防災担当理事の出気杉さん、自分含め計3名で理事会を開催した。

野火さん・水南元さんの欠席は仕事なので仕方ないと思いながら、管理会社担当者から定時報告等と先般の漏水対応の報告を受け、1時間の理事会はあっという間に終わった。

管理会社担当者から何点かの書類を渡され、理事長印を押印し、次回の理事会も3ヵ月後の予定となった。

2回目の理事会後、帰宅時にエレベーターで理事会を欠席した監事の五宇田さんとたまたま一緒になった。

それとなく、理事会に欠席された件について聞いてみる。

「管理会社担当者に、監事は出席できる時だけ出席すればいい立場と言われたので欠席しました。」とのこと。
(内心、監事が良かったと思わずにはいられない、、、自分のくじ運の悪さを再確認する。)

ひとまず、次回理事会の日程を伝えて監事の五宇田さんとは別れた。

監事はそんなものなのかと思い、ネットで調べた。
確かに監事の立場は、理事会への出席は必須ではなく、理事会の不正を監視する役目が重要で、理事会の決議に参加できない立場らしい。

さらに調べてみると、マンションの規約を見た方がよいとのコメントがあった。

マンション購入時から書庫の奥底に眠っている『管理規約』を読んでみると、ネットで調べたとおり、監事は参加できると書いてあって、どうやら五宇田さんの言うとおりらしい。

監事は理事会に出なくていい?と不思議に思いながらも、最近お気に入りのクラフトビールを呑みながら納得してしまった。

理事長になって3回目の理事会

大きな議題は突然に。

年も変わり1月に3回目の理事会を開催することなった。

今回は、監事の五宇田さんが出席してくれた。

前回に引き続き、野火さんも水南元さんも仕事で欠席とのことで、前回参加者に追加し監事の五宇田さん含め計4名で理事会を開催することとなった。

管理会社担当者から定時報告があった。

少し気になった点を質問してみた。

管理費等の長期滞納が1件、継続してある。

管理会社担当者から、前々期の理事会で、少額訴訟を行っているので、特段心配することはありませんよとの返答があった。(そんな話、引き継いでないぞ、、、と思いながら。)

もし、売却したとしても、滞納分を新所有者に請求できますとのこと。
隣の部屋だから気になったのだが、そんなことになっていたとは・・・・。できるだけ触れたくない話題ではある。

そうですかと話題を切り上げることにした。

引き続き、管理会社担当者から
「修繕積立金の値上げ:1戸あたり月額4,000円程度アップ」
について提案があった。

マンション販売時に説明を受けた長期修繕計画によると、5年毎に段階的な値上げを予定しており、ちょうどそのタイミングが、次回の総会とのことである。

マンション販売時の長期修繕計画と資金計画(段階的な修繕積立金の値上げに関する計画)様々な資料が渡された。

マンションを購入した時に説明を受けたような記憶が蘇る。

管理会社担当者からは、次回理事会が総会議案を確認する理事会(総会前理事会)となるので、それまでに資料に目を通していただき、修繕積立金値上げを総会議案にするか判断いただきたいとのことであった。

帰宅後、修繕積立金の値上げについて家族に聞いてみたところ、修繕積立金が値上げした場合にはクラフトビールカットとのことであった。

理事長としてなんとかしなければならないと思案に暮れているうちに、晩酌に入る。

前理事長は、何もすること無いと言っていたような気がするが、、、、総会まであまり時間無いなあ、、、と思いつつ、明日の仕事のため早々と寝てしまう。

理事長になって第4回理事会

あっという間の総会前理事会

修繕積立金の値上げに関する妙案も浮かばず、早4月になり、理事会を開催する。

管理会社担当者から、今回の理事会は、5月開催の総会に向けた準備のための総会前理事会であり大変重要なため、理事長は必ず参加頂きたいと念押しされていた。

今回は、副理事長の保根川さんが仕事で欠席。監事の五宇田さんも都合が悪く欠席。

会計担当理事の野火さん・書記担当理事の水南元さんが久しぶりの出席となり、防災担当理事の出気杉さんと私含め合計4名の理事会となった。

管理会社担当者から、分厚い決算の資料と総会の議案書の素案が配布され、2時間位、説明があった。

防災担当理事の出気杉さんは、お仕事が会計に携わっているだけあって、会計関係について細かく確認・指摘されていた。

修繕積立金値上げの件については、野比さんも源さんも、前回欠席していたため初耳だという顔をしていた。

が、販売時から修繕積立金の値上げについて予定している計画との管理会社からの説明を受け、それならばと納得されていた。

また、修繕積立金値上げの代替案も参加者から出るわけではなかったため、満場一致で今度の総会に議案として管理会社案のまま提出することとした。

建物の安心な維持管理のためにも、修繕積立金の値上げは必要である。

一方、納得しつつも修繕積立金の値上げに関する議案について、総会承認されるか不安に思えてきた。

管理会社担当者からは、理事会で承認されている議案は、総会に提案すると、ほとんど承認されますよとの頼もしい言葉があり安心した。

帰宅後、不本意ではあったが、修繕積立金の値上げ提案に伴い、クラフトビールのカットが確定的となったことを家族から一方的に告げられる。

理事長になって初めての総会

総会の一波乱・お金は大事。

総会当日

自分も含め役員6名全員が出席した。

管理規約に基づき、理事長が議長となるとの管理会社担当者からの説明があり、理事長である自分が議事進行することとなった。

管理会社担当者からスムーズな説明もあり、決算の報告や他の議案は順調に承認された。

しかし、修繕積立金値上げの件の説明に入ったところ、会場の雰囲気が一変した。

ご高齢の出席者が様々な持論を展開し、周りの数名の参加者が同調するかのように理事会へ意見をぶつけてきたのだ。
以前から管理会社に対し、何か不満事項があったらしく、

「管理会社自体に信用が置けない。」

「積立金の値上げをする根拠となる長期修繕計画が、そもそもおかしいのではないか。」

「負担の増える修繕積立金の値上げは反対だ。」

といった意見だった。

管理会社担当者からは、
「修繕積立金の値上げは、マンション販売当時から予定しています。」

「修繕積立金の値上げは建物の維持管理にとって必要なことです。」

と理事会にて説明していた内容を繰り返していたが、出席者の半数以上は、納得していない様子だった。

いつも強気な監事の五宇田さんをチラリと見ると、下を向いて黙っている。
他の理事も同じように黙りだ。

議長への委任状が多数あり、賛成多数で可決できる状況だった。

しかし、これほど席上に反対者がいる中で可決した後、マンションに住みにくくなっても困るなと段々不安になり、一旦否決とし、来期へ継続審議とした。

役員任期は一年だったので、今回の総会で役員が総入れ替えとなる。

新理事会へ修繕積立金の値上げの検討を引き継ぐこととなった。

一回目の理事会で、前理事長から
「管理会社がしっかりしているし、大丈夫ですよ。担当者の南味平さんも優秀ですし。任せとけば何もすること無いですよ。」
と言われ何となく安心したことを思い出した。

明日も仕事があるので、クラフトビールを飲みながら早めに寝るとするが、色々と考えさせられた一年間だった。



※このストーリーは四ツ谷マンション管理総合支援事務所(株)によるフィクション(創作)です。実在する人物や団体などと一切関係ございません。

何かが足りなくて失敗した

管理会社がしっかりしていてもよくあるケース

理事長

理事長や役員に就任していると、このように最後大変となるケースは少ないのではないでしょうか。

管理会社のフォローだって徹底してますし、修繕積立金値上げ議案について管理会社に落ち度は無いように感じます。

よつや

そのとおりです。
修繕積立金値上げ見送りについて、管理会社に責任はありません。

一方で、このようなケースは、程度の差はありますが、管理組合運営において、本当によくあるケースです。

管理会社が信頼されていると、このようなケースは一層多いように感じます。

もちろん、上記ストーリーはフィクションですが、実際のあった複数の事例を基に創作しています。

管理会社もしっかり仕事をしています。(詳しく見ると色々言えることはありますが・・・。)

しかし、何かが足りないため最後の総会でうまくいかなかったケースですね。

それは、理事会自身の判断をサポートする体制が無かった点にあります。

管理会社は通常、管理委託契約に基づき仕事をしますが、定められた仕事を実行する立場と言えるでしょう。

判断をする側はあくまでも管理組合・理事会なのですが、判断しようにも本ストーリーのように、管理会社が信頼されているほど難しくなります

そこで、管理会社とは異なる外部の専門家を活用することで、理事会の判断をサポートし、スムーズな管理組合運営を実現しようと検討するケースが、増えつつあります。

理事長

それぞれのマンションの状況に応じて、進め方や運営体制も検討する必要がありますね。

よつや

自分たちのマンションの運営状況・課題にあわせて検討してみてください。

ちなみに、上記ストーリーは、弊社設立間もない頃の弊社ホームページに掲載した拙いストーリーを一部変更したものです。一部、現在に合致しない箇所もあります。

マンション管理業界もどんどん進化しています。

ご一読頂きありがとうございました。

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