マンション管理適正化法の改正

マンション管理適正化法が改正されました。

令和2年6月24日に公布されましたので、公布後2年以内に施行されると思います。

改正の背景には、築40年超の高経年マンションが、現在81万戸、10年後には198万戸、20年後には367万戸になるという推計があります。

この"経年40年前後"というのは、適正かつ積極的な管理が行われないとハード的にもソフト的にも、レールを外れて軌道修正が難しくなってしまっている時期であるため、その前に管理組合が軌道を大きく外れないよう施策しておく必要があるものと思われます。

「指針」から「方針」に変わった!

これまで、「国土交通大臣は、マンションの管理の適正化の推進を図るため、管理組合によるマンションの管理の適正化に関する指針を定め、これを公表する」とされていましたが、改正法では、「国土交通大臣は、マンションの管理の適正化の推進を図るための基本的方針を定めなればならない」となりました。

指針」→ 物事を進める上で、向かうべき方向性を示してくれるものや考えのこと

方針」→ 物事を進めるにあたり、向かうべき方向性を自ら考えたもの

これまでなにかと指針を示すにとどまっていた国交省がとうとう方針を決めてくれるのですから、期待が膨らみます。

策定された基本方針を基づき、「都道府県等は、マンションの管理の適正化の推進を図るための計画を作成することができるため、日本中のいろいろな街に適正化の波が押し寄せることになりそうです。

みんな大好き認定制度!

さて、今回の改正の目玉は、なんといっても「管理計画認定制度」です。

「ウチのマンションに認定が来た!!」ら、これは本当に嬉しいですよね。

ましてや、忙しい中時間を割いて管理組合活動をしている役員さんたちは、みんなで頑張った結果を評価されたようで感慨も一入でしょう。

以下に条文を参照します。

(管理計画の認定)

第五条の三 管理組合の管理者等は、国土交通省で定めるところにより、当該管理組合によるマンションの管理に関する計画(以下「管理計画」という。)を作成し、マンション管理適正化推進計画を作成した都道府県の長(以下、「計画作成都道府県知事等」という。)の認定を申請することができる。

2 管理計画には次に掲げる事項を記載しなければならない。

一 当該マンションの修繕その他の管理の方法

二 当該マンションの修繕その他の管理に係る資金計画

三 当該マンションの管理組合の運営の状況

四 その他国土交通省で定める事項

(認定基準)

第五条の四 計画作成都道府県知事等は、前条第一項の認定の申請があった場合において、当該申請に係る管理計画が次に掲げる基準に適合すると認めるとは、その認定をすることができる。

 一 マンションの修繕その他の管理の方法が国土交通省令での定める基準に適合するものであること。

 二 資金計画がマンションの修繕その他の管理を確実に遂行するため適切なものであること。

 三 管理組合の運営の状況が国土交通省令で定める基準に適合するものであること。

 四 その他マンション管理適正化指針及び都道府県等マンション管理適正化指針に照らして適切なものであること。

長期修繕計画作成状況、修繕状況はガイドライン重視?

第五条の四の第一号では、国交省策定の長期修繕計画等のガイドラインへの合致具合がものをいいそうです。また第二号では、資金計画において、均等積立を要求するか、最終黒字のみを要求するのか。いずれにしても、このあたりは、若干ハードルが高いものとなるかもしれません。

築年が10年程度で、70~80戸以上、全部委託(理事会毎月~隔月)で、修繕積立金を改定したばかりというマンションは認定を比較的楽に受けられそうなイメージですね。

フタを開けたら、、、良い制度でありますように!

認定を取ることのメリットは、資産価値の上昇もさることながら、組合員のモチベーションが爆上がることになることだと思われます。

これにより、理事会の活性化、総会の活性化にもつながり、すべての好循環を生み出す契機となりそうです。この手の宝物は、お金を出して買えるものではないかもしれません。

組合員が、「どういうのが良いマンションなの?」「適正化って何?」などとマンション管理に関心をもち、「この認定は嬉しいね」と誇りにできるような制度となって行くことを祈念いたします。

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